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住職日記:真理について編(長文)

青岸寺山門

住職日記は基本的には私的考え(ブログにちかい)をただ書きつられているので、特別暇な人が見てください(笑)仏教にも青岸寺にも関係ない事が多いです。^^

今回のテーマはずばり「真理」。お坊さんや宗教者が良く使うフレーズ、決まり文句です。

この真理という言葉は実はとても難しい概念です。大昔から世界各国で論じられている真理論。神を主体とする真理、精神を主とする真理、科学を主とする真理。様々な角度で真理論は探究、研究されております。

真理論はそこら中の書店やインターネットでも拝見できますので、難し事はそちらで確認してください。ここでは、今回は仏教とは関係のない書物をもとに、私の独自の見方で真理を説明しております。

さて、仏教でも「真理論」は、もちろんあります。お釈迦様の説かれる代表的な教えに「諸行無常」「諸法無我」「一切皆苦」「涅槃寂静」などがあり、これは真理であると我々仏教徒は信じています。もちろん私もその一人になるわけです。

今回はこの真理について私なりのアプローチで見てみようと思います。

注意※ここから長くなり、脱線もします。

最近ある書籍に出会いました。ユヴァル・ノア・ハラリ氏の「ホモサピエンス全史」です。

「ホモサピエンス全史」は世界で1200万部、次作「ホモデウス」「lesson21」も世界中でベストセラーしている、イスラエル出身の歴史学者です。

非常に読み応えのある書籍で上下二巻あります。今回はこのホモサピエンス全史をもとに真理を見ていこうと思います。

簡単に内容を集約すると、アフリカの森の中で暮らしていた人類の祖たちがどのように生活し、進化していったのか。また、ホモサピエンス(現在の人類)がどのようにして、生き残り、万物の霊長と呼ばれるまでに至ったか。これを様々な角度からひも解いていく書籍です。

まず驚愕するところは、人類が「ホモサピエンス」以外にも何十種といた、という真実です。私たちは学校の教科書で「北京原人」「ネアンデールタール人」などを習うわけですが、全て、ホモサピエンスの先祖として習うわけです。しかし実はこれらは全て別人種だということです。

例えば上記北京原人はホモエレクトスという人種であり、ネアンデールタール人も別人種になります。

20万年から1万2000年前まで、地球上では多種にわたる人類が争い、または共存してき時代があったのです。

しかも中にはネアンデールタール人に代表されるように、ホモサピエンスよりも身体的優位で頭も人類より良かった人種がいたという事実です。

このように、我々祖先よりも優れた能力がありながら、なぜ他の人類は滅びてしまったのか?答えは簡単です。

ホモサピエンスが他の人類は滅ぼした・・!とのことです。

「ホモサピエンス全史」によると、他の人類の中でも火や道具を使えた人類はいたとの事です。

①、我々祖は自分よりも優れた他の種を滅ぼすことができたのか?

②なぜ滅ぼしたのか?

今回は①の疑問に真理の見方があるので、②の答えが気になる方は本を購入下さい(笑)

①の答えの前にホモサピエンス全史では、現人類には三つの劇的な転換期があったとしています。「科学革命」「農業革命」。この二つはなんとなく授業でも勉強しているのでわかります。最後の一つが「認知革命」。正直はじめて聞きました。この認知革命こそ、ホモサピエンスの人類が生き残った要因だとこの書籍はいいます。

認知革命が起きたのは7万年前になります。人類は600万年前に人、チンパンジーの共通祖先からはじまり、250万年前で人類が異なる進化し、20万年前に我々の祖ホモサピエンスが現れています。

そして「認知革命」が7万年前に起こり、1万3000年前にホモサピエンスが唯一の人類に残ります。ホモサピエンスは「認知革命」後、約6万年で他の人類を徐々に滅ぼしている事になります。(我々先祖とはいえ、恐ろしい・・)

この認知革命がおこるまでは、ホモサピエンスは他種との交流もあり、我々の遺伝子には他の人類のDNAも少なからず含まれているそうです。(多種との交配があったということ)

20万年から8万年前までは共存していた事を鑑みると、この認知革命がもたらした影響の凄まじさがよくわかるかと思います。

それではなぜネアンデールタール人に代表されるような能力優位である人類を滅ぼせたのか?火も道具も使えた相手にどのようにして勝ったのか?

答えはホモサピエンスが突然変異により言葉を多く使えるようになったことで、「集団」を多く形成できたことであるそうです。

認知革命が起こる以前の集団の数は多くても150人が限界であり、約20人~30人の家族が群れを形成していたといいます。

基本的に生物は信用できるものとしか生活ができません。特に人類の祖は森の中で生活しているときは弱肉強食の世界にあって、捕食される側で、弱い生物でした。そのDNAもあり、非常に警戒心が強く、気軽に群れを作らず、本当に信用できるものとしか集団を形成できないようになっていたのです。(集団をつくるのも、他の強い動物から身を護るため)

では、ホモサピエンスに起こった「認知革命」とはなにか?それは言葉をより発展的に進歩したことにより、虚構(嘘)やフィクションを創造できるようになったことだといいます。

例えば、他の人類も言葉を使っていました。「あそこに食べ物がある」「敵が来た」などのコミュニケーションは使えたわけです。

ホモサピエンスは「あそこの食べ物は取るのが難しいがとても美味しい」「敵が山の上から20人ほどきている」などの言語を使えるようになりました。

更に、「この食べ物を食べると体が強くなる」「この石には精霊がいて、祈ると病気にかからない」などの虚構を創造する事ができるようになったのです。噂話なども認知革命によりするようになりました。

この虚構、フィクション、ストーリーを創造することにより、ホモサピエンスはより多くの集団を作れるようになり、集団事に信仰する対象(火、水、木、石、空、太陽、強い動物)を作り、独自のルールを作ることにより、結束した共同体の集団が形成されました。

また、噂のおかげで「何々の集団では太陽を信仰としている。私たちと一緒になろう」「何々の集団は狼の力を授かっていてとても強いから仲間になろう」など、本来150人が集団形成で限界だったのが、より多くの集団を形成する事が可能になりました。

こうして多数の集団を形成したホモサピエンスは他の優れていた人類を滅ぼして、唯一の人類になったわけです。

その後、生き残った人類はよりフィクションストーリーの世界観を広げていきます。数多くの文明が現れ、消えていく。様々な宗教が誕生し、ルールができていき、現在の我々の世界観を創造しているのです。

貨幣がわかりやすいかもしれませんが、お金って本当は紙ですよね。

私たちはお札に価値があるって信じているからただの紙ではないって認識しています。

でも、日本の貨幣が通じない場所ではやっぱりただの紙だったりします。

これは、お札という価値を共通認識し信用しているから価値が生まれている紙といえます。(仮想通貨を批判する人がいますが、貨幣も実は仮想通貨だったりします(笑))

何が言いたいか、貨幣もしょせん人間が創り出したフィクションだといえるということです。国家や宗教、全ての事がらが虚構なのだとハラリ氏は驚きの事をいいます。

ハラリ氏の著書が正解であるとしたら、私たちは虚構な世界でそれを真実と信じて生きている事になります。

よく「常識は時代と共に変わる」とか、ありますがこれはその時代によって人間たちが新たなフィクションとルールをつくり、それを信じているから成り立っているといえます。

さて、だらだらと記してきましたが、今回のテーマである真理です。真理とはその人間が創造したフィクションやストーリーから離れたもの。これが「真理」である。今回の著書からは真理についてこのようなアプローチができました。

お釈迦様は「私が死んでも私を拝むのはやめなさい。教えを尊びなさい」とおっしゃったと伝えられます。お釈迦様自身は仏教をつくっていません。我が曹洞宗の開祖道元禅師も宗派な命名をせず、のちの弟子たちが曹洞宗と名付けたといいます。

もしかしたら、仏教も曹洞宗も人間がつくりだした虚構なのかもしれません。ただ、お釈迦様や道元禅師の教えには真理があります。

例えば「諸行無常」。常に物事は移ろい流れるもの。人は生まれやがて死に、花は咲き、また枯れる。これは人間がつくりだしたフィクションから離れた真実だと限りなく言えます。

お釈迦様の教えはこの人間が創り出した虚構の世界に縛られ苦しむことはない。しょせんは人が作ったストーリーに過ぎない。だから苦しみが生まれる。そこから離れさい(悟り)。そのようにおっしゃっている気がします。(これも私の虚構です(笑))

それにしてもお釈迦様は凄いですね。2500年前から現代の天才ハラリ氏の伝えたいことを言葉が違えど、理解し(もちろん、科学的にみていたわけではない)弟子たちに教えていたのですから。

長い文章になりましたが、お付き合い有難うございました。住職日記は住職個人の私的感想なので、宗門の考えとは異なりますのでご理解下さい。所詮は私の文もただのフィクションストーリーに過ぎませんから・・。

住職 慧嶽 匡宏 合掌

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